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港のコンテナヤードに並ぶ多数の輸送コンテナと背後のクレーンを上から見た明るい風景

FUMIGATION & PLANT QUARANTINE REPORT

コンテナの中の侵入生物と検疫手続きの電子化

ヒアリ対策の制度と、NACCS・ePhytoに向かう手続きのデジタル化を、公的資料の日付つきで整理します。

コンテナと侵入生物:植物検疫の外側にある水際対策

最終更新日:

本ページは環境省・農林水産省・植物防疫所の公開資料に基づく整理です。日付と制度の位置づけは各資料の記載によります。

輸入貨物が運ばれてくるコンテナは、貨物本体だけでなく、コンテナそのものや積荷の隙間にひそむ生物も運びます。植物検疫は植物に有害な病害虫を対象にしていますが、人や動物にも害を与える外来生物は、別の法律と別の機関の仕組みで対応します。代表的な例がヒアリです。ヒアリは、環境省が所管する外来生物法の枠組みで扱われ、2022年11月22日に要緊急対処特定外来生物に指定されました。

環境省のヒアリ対策のページによると、ヒアリが国内で初めて確認されたのは2017年で、確認事例の多くは、コンテナ内やコンテナヤードで見つかっています。出港地として中国の港が多く記載されています。このため、国内の港湾でのヒアリ対策は、コンテナの荷揚げ、保管、輸送の各段階を意識したものになっています。検疫の現場で働く人や、港湾物流に関わる事業者にとって、植物検疫と外来生物対策は、同じコンテナを対象にしながら、担当する機関と手続きが異なる点を理解しておく必要があります。

環境省は、港湾でのヒアリの確認調査を継続して実施し、結果を公表しています。2020年11月27日に港湾における確認調査の結果を報道発表し、2021年11月9日に令和3年度の夏季・秋季調査の結果、2023年3月3日に令和4年度の調査結果、2026年6月1日に令和7年度の港湾調査結果を公表しています。2025年度の表には、68の港湾でトラップを設置したことが記載されています。調査は、港湾に定着していないかを確認するための取り組みで、結果は環境省のページから確認できます。

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この領域では、事業者が自社の責任で行う点検が重要です。コンテナを開けたときや、荷役の場面で、ヒアリが疑われる虫を見つけた場合の対応は、環境省がマニュアルや研修動画を通じて周知しています。2023年5月12日には、担当者向けの研修動画が公開されました。港湾やコンテナヤード、倉庫の現場は、植物防疫所の検査とは別に、こうした外来生物の早期発見の最前線になっています。

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環境省のページに掲載されている日付を並べると、制度の整備の経過が分かります。2022年11月22日にヒアリ類が要緊急対処特定外来生物に指定されました。2023年4月25日には対処指針が公布され、2023年5月31日には、消毒または廃棄の命令の基準が公布・施行されました。これらの措置により、要緊急対処特定外来生物が見つかった貨物やコンテナについて、国が消毒や廃棄を命じるための基準が整いました。

植物防疫法の枠組みでも、輸入検査で検疫有害動植物が見つかった場合は、消毒や廃棄の対象になります。ヒアリは植物検疫上の検疫有害動植物ではなく、外来生物法に基づく措置の対象ですが、現場では同じコンテナを扱うため、荷主や物流事業者が混乱しやすい点です。どちらの制度に基づく措置なのか、担当する機関はどこかを、事前に整理しておくことが大切です。

関係省庁の連携も進められています。環境省のページによると、ヒアリ対策の関係省庁会議は、2020年5月8日の第1回から、2025年4月23日の第6回まで開催されています。防除の基本的考え方は、2021年4月のVer.3.1から、2026年4月27日のVer.4.2まで改定されてきました。同定マニュアルも、Ver.2.2(2021年)、Ver.3.0(2023年)、Ver.3.1(2025年)と改定されています。改定が続いていることは、対策の知見が現在も更新されていることを意味します。事業者は、最新版の資料を参照する必要があります。

コンテナ内部の点検と消毒:何を誰が確認するのか

輸入コンテナの点検は、複数の主体が、それぞれの目的で行います。植物防疫所は、植物や木材こん包材の検査で、貨物とともにコンテナ内の病害虫の有無を確認します。税関は通関のための貨物確認を、環境省は港湾でのヒアリなどの生物調査を行います。事業者は、荷役や保管の際に、自主的な点検を行います。それぞれの点検は目的が異なるため、一つの点検で他を代替することはできません。

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植物防疫所が指定する輸入関係の施設のうち、コンテナに関わるものとして、密閉形航空コンテナーがあります。植物防疫所のページでは、輸入関係の指定施設六種類の一つとして挙げられています。清水港には、コンテナをシャーシーに積んだまま処理できるコンテナ専用のくん蒸庫があると、東海埠頭の公式サイトに記載されています。こうした設備は、コンテナ単位での処理を求められる貨物に対応するために作られています。

コンテナ内の木材こん包材は、貨物本体の検疫とは別に、処理表示の有無で扱いが分かれます。処理表示がない木材こん包材が見つかれば、植物防疫所への届出と輸入検査が必要になり、病害虫が付着していれば消毒または廃棄となります。木材梱包材とISPM15のページで整理したとおり、処理表示の有無は、コンテナを開ける前にはわからないため、荷主は輸出者と処理の有無を事前に確認しておく必要があります。

検疫手続きのデジタル化:電子申請とNACCS

植物検疫の手続きは、書面から電子申請へと移ってきました。植物防疫所のトップページには、電子申請窓口、手続様式一覧、輸入禁止品の輸入許可、電子植物検疫証明書(ePhyto)、NACCS(第7次更改)、インターネット版NACCS(APS)の画面調整といった項目が並んでいます。輸入検査の申請や、輸出植物検査の申請は、NACCSを通じて電子的に行えます。

NACCSは、輸出入・港湾関連情報処理システムで、税関や港湾の手続きと同じ基盤の上に、植物検疫の手続きも載っています。農林水産省のページによると、NACCSの第7次更改により、令和7年(2025年)10月12日の5時に新しいシステムが稼働する予定として案内され、NACCSの植物検疫関連業務は、10月11日23時15分から10月12日5時まで停止されました。電子申請のWebサイトの利用者にとっては、URLの変更に伴い、ブラウザの自動入力が使えなくなる場合があるため、利用者情報の確認が事前に案内されました。

電子化の価値は、申請の効率化だけでなく、通関と検疫の情報連携にあります。貨物が到着する前に申請を済ませ、検査の予約や結果の通知を電子的に受け取れれば、荷主や通関業者は、貨物の滞留を減らす計画を立てやすくなります。一方で、システムの更改時には停止期間が生じるため、貨物の到着や出荷の計画に影響するリスクもあります。事業者は、更改の案内を事前に確認する必要があります。通関DXレポートが扱う通関業務の電子化とも、手続きの上でつながっています。

e-Phyto(電子植物検疫証明書):国際的な電子化の流れ

植物検疫証明書は、輸出国の植物防疫機関が、輸出する植物や農産物が輸入国の要件を満たしていることを証明する書類です。従来は紙の証明書が一般的でしたが、国際植物防疫条約(IPPC)の枠組みで、電子植物検疫証明書(ePhyto)の導入が進められています。農林水産省の説明によると、ePhytoは、紙の証明書とは異なるXML形式のデータで、二国間で合意した国家間で送受信されます。

日本では、令和7年(2025年)10月のNACCSの更改で、ePhytoを交換する機能が追加されました。植物防疫所のページによると、試行の対象国は、大韓民国と米国が令和7年10月14日の発給分から、アルゼンチンとチリが令和7年12月1日の発給分からで、いずれも輸出入の貨物が対象です。ページの最終更新日は2026年3月30日で、試行期間の延長についての案内がPDFで公開されています。

試行期間中の取り扱いには、いくつかの条件があります。従来の植物検疫証明書は引き続き必要で、アルゼンチンとチリについては、ePhytoのみでの輸入は認められていません。輸出では、従来の証明書とePhytoの両方が発給されます。書面による申請ではePhytoを利用できず、オンライン申請のみが対象です。植物防疫所の資料には、WebAPS(輸出植物検査申請事項登録画面)で、ePhytoの対象国の場合に発行要求にチェックを入れるという操作が案内されています。紙の証明書の手交と受け取りも、引き続き行われます。

ePhytoの導入は、輸出者にとって、証明書の郵送や持ち込みの手間が減る可能性があります。同時に、書類の電子化は、相手国の受け入れ体制に依存するため、対象国が限られている間は、従来の運用との併用が続きます。今後、対象国が拡大するかどうか、本格運用の開始時期がいつになるかは、植物防疫所の公表資料で確認する必要があります。

電子申請を使う側の実務:利用者情報の管理とシステム更改への備え

植物防疫所のNACCS第7次更改に関する案内は、電子申請を使う側の実務に関わる注意点を具体的に示しています。電子申請のWebサイトを使う利用者は、更改に伴ってURLが変わるため、ブラウザの自動入力機能が使えなくなる場合があります。そのため、ログイン後の「利用者情報」で、利用者ID、パスワードのヒント、メールアドレスを事前に確認し、誤りがあれば修正するよう案内されています。パスワードを紛失した場合、照会には対応できないとされているため、担当者が交代する際の情報の引き継ぎが、事業者の側の課題になります。

NACCSのパッケージソフトを利用している事業者については、業務仕様の詳細をNACCS掲示板の第7次版で確認する案内になっています。インターネット版NACCS(APS)の画面調整についても、植物防疫所のトップページに案内が掲載されています。システムが変わるたびに、画面や操作が少しずつ変わるため、業務の担当者は、更改の前後で操作手順を見直す時間を確保しておく必要があります。

更改の時期には、植物検疫関連の業務が一時的に停止します。第7次更改では、10月11日23時15分から10月12日5時までが停止期間として案内されました。貨物の到着や出荷がこの時間帯に重なる場合は、申請のタイミングをずらす、書面での代替手段を確認するなどの対応が必要になります。こうした停止期間の情報は、植物防疫所の電子申請窓口とトップページで事前に公表されます。

事業者にとっての実務上の論点

検疫手続きの電子化は、荷主や通関業者、物流事業者にとって、三つの論点を投げかけます。第一は、システムの更改や停止の予定を、業務計画に組み込むことです。第二は、申請の権限と役割分担です。電子申請の利用者ID、パスワード、連絡先のメールアドレスは、事業者側で管理が必要で、担当者の異動時の引き継ぎが課題になります。第三は、相手国との関係です。ePhytoのように、相手国が対応していなければ使えない仕組みは、国ごとの運用状況を常に確認することが前提になります。

侵入生物対策でも、同様の整理ができます。制度の更新(指定、指針、基準、マニュアルの改定)を追うこと、現場での点検の体制を整えること、関係機関との連絡経路を確認することです。倉庫害虫モニタリングのような技術は、保管の間の監視を補助しますが、コンテナの開封時点の確認を代替するものではありません。

一次情報の確認先と次のページ

最後のページでは、これらの現場を支える資格・安全・キャリアの仕組みを整理します。

本サイトは植物検疫・くん蒸に関する制度と業界を公開情報から整理したものであり、個別の輸出入手続きや薬剤使用に関する助言ではありません。検疫要件は相手国・品目により異なり、改正されることがあります。手続きは植物防疫所・登録事業者にご確認ください。